うちの所長知りませんか?
「この二人は推研の〝データバンク〟って呼ばれてますっちゃ。兄の不知火みぎと、妹の不知火ひだりっちゃです」

「ふぅん、みぎとひだりね」

『めもり』とか『らりる』とかもそうだけど、『みぎ』に『ひだり』なんて、彼らの両親はどんなネーミングセンスなんだろう。

ある意味おしゃれだけど……。

というより。

「真美ちゃん、君やけに詳しいね?」

「もちろんですっちゃ。なにせ私、占い研の〝データバンク〟なので!」

へぇー、占い研究会代表の僕もそれは初耳だよ。

「「三ノ宮キリュウ先輩」」

不知火きょうだいが僕を見た。

「「ですね?」」

と、確認される。

僕はうなずいた。

「今回、所長がアナタを指名してきたことには理由があるはずです」

「白鳥先輩との話し合いによって、推理研究会としては、一連の捜査指揮は三ノ宮先輩に執ってもらうことにしました」

兄、そして妹の順で口を開いた双子に、白鳥さんが続く。

ひゅ、と風が切られて、僕の鼻先に木刀。

「よろしいでしょうか、三ノ宮キリュウくん」

「は、はあ、まあいいですよ」

ここまで来て、そこまでされて、拒絶なんてできませんでしょうが。
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