うちの所長知りませんか?
「とりあえず、その所長……大恩寺めもりさんを探すために情報を得たいんです、質問に答えてもらってもいいですか?」

いきなり探せと言われても、そもそも面識がないし、どんな性格で、いったいどこに行ってしまいそうとか、見当もつかない。

少なくとも、白鳥さん達が知っている情報をすべて提供してもらわないといけない。

「まず確認なんですけど、今日の五時限目を過ぎたところで大恩寺さんはいなくなった、ですね?」

不知火みぎがうなずいた。

僕は続ける。

「それまでの授業は普通に受けていたし、おかしな行動はなかった、ですね?」

不知火ひだりがうなずいた。

「所長レベルで言えば、『普通に』ですが」

と付け加えられる。

引っ掛かる言い方だ。

「というと?」

白鳥さんが、やや困ったように溜め息。

「所長は校内でも変人と通っている通り、こう言ってはなんですが、一般人の思う普通の授業態度は取っていません。ひだり」

「はい。今日の所長の授業態度ですが、一時限目の数学、両目を瞑り、終始『心の目で授業を受ける』と言われたそうです」

……心の目ですか?
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