時代魔レヂスタンス
次の日は、私はクラウンの前にいた。
一人でいればいるほど、どうしようもない思いが胸の中をぐるぐると巡るだけで、辛かった。
貴志はきっとクラウンにいるだろう。
―そしたら?
普通でいい。
私は無口であるし、普段からもクラウンでは別段、言葉を交わすこともさほどなかった。
そんなことを考えながら、店に入る。
扉を開けると、いつものように薄暗い店内は酒の香りとジャズとを漂わせて、私を迎えてくれた。
一日ぶりのクラウン。
貴志はいるだろうか?
不安を胸に奥へと進んだが、いつもの場所にはキッドとミノルしかいなかった。
私はなんだか拍子抜けしてしまった。
最初に私に気付いたのはミノルで、
「おぉ、ハル姫様のおいでだ、さあさ、ここへ」
と、いつものようにシャレをかまし、ぱんぱんとイスをはたいて私に勧めてくれた。