(短)君と…



いつしか私の頭の中は、

雄のことばかりだった…。



ゆっくりと流れる入道雲。


その雲を私は、廊下の窓から眺めていた。



私は、この時間が好き。


心が落ち着いて引き返そうとした時だった…




-グイッ!!!!!!

と、誰かに手を引っ張られ

教室に入れられたかと思うと、

鍵を閉められた。




誰っ!?と思って顔を見ようとした時…

-ギュッ!!!と強く抱きしめられた。



この雰囲気で私は、なんとなく悟った。


雄…?雄だよね…?




「………探した…」


「…え?…」


「…急に消えたりするから…、
…俺、ずっと探したんだぞ?…」


「……ごめんなさい…」

私は謝ることしができなかった…。



雄の力がより一層強くなった気がして、

私は苦しかった。



きっと…抱きしめられただけの

苦しさじゃなくて、今までの不安が消えたから…

涙が溢れそうになって喉が詰まったんだと思う…。



雄…本当にごめん。


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