魔法の角度
「北枕なんて縁起悪くない?」
彼女が笑いながら言った。
「このほうが星見やすいと思ったんだけど…。」
緊張して真面目に返事した僕に
「冗談。
真面目に返さないでよ。」
と彼女は大笑いした。
「全然、星って見えないんだね。」
彼女が少し残念そうに言った。
「東京だったらこんなもんだよ。」
藤金さんはガッカリしていたけど、すぐに明るさを取り戻して、
「星少なくても、いっか。
ねぇ、北極星ってどれ?」
僕に聞いた。