魔法の角度

「あっ!あれは?
一番眩しいあの星。」

彼女が地上付近でキラキラ輝く星を指差した。

「あれが金星じゃん。」

「へぇ~、金星って結構明るいんだ。」

「そうだね。
一等星の12倍も明るいんだよ。」

「惑星のくせに生意気。」

彼女はくすっと笑った。

「太陽と近いからね。」

「やっぱ、太陽のおかげかぁ。」

しょんぼりと彼女は言った。



「所詮、太陽にはかなわないよね。
金星なんてさ。
太陽の光で輝いてるんだもん。」



藤金さんは金星を見つめたまま言った。

太陽っていうのは高村さんのことなのかな。

だったら、金星のほうがずっと勝ってる。

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