魔法の角度
「太陽だったら空全体明るくできるもんね。
金星の周りは真っ暗。」
それから、彼女は黙ってしまった。
僕は言葉を探した。
初めて静寂がうるさく感じた。
彼女が気になったけど、横を向く勇気がなかった。
僕は、言葉を1つずつ選びながら言った。
「どんなに星の見えるとこに行っても、空に点々と星があるようにしか見えない。
星と星の間って、何もないように見えるだろ。」
彼女は静かに頷いた。
僕らは金星を見つめたまま話を続ける。