魔法の角度

『太陽』って単語が彼女の口からは6回も出たから。

嫌でも『太陽』は高村さんを連想させる。

「気になる?」

僕は素直に

「気になる。」

と答えた。

ふうーっと彼女は昼間よりも長い溜め息を吐いた。



「私の好きな人は、太陽が好きなのよ。」



胸がズキリと音をたてた。



「『金星』なんかじゃ、『太陽』には勝てないんだなぁって気付いちゃったの。」



彼女と少し話せたからって浮かれていた。

藤金さんは、白井くんと付き合っていたんだ。

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