魔法の角度
ガチャ
っと屋上のドアの開く音。
ここは、教室がある階からさらに階段を上らなきゃたどり着かない。
ほとんど物置のようになっているその階段は誰も入らない。
だから、掃除のおばさんだと思った。
僕のために屋上の鍵を閉めないでくれる優しいおばさん。
掃除の邪魔でも僕を追い出したりしない人だ。
それにしても、今日は本当に空が青い。
ふっと、目の前が暗くなった。
頭の後ろで手を組んで、空を見上げていた僕の顔を覆うように覗き込む影。