魔法の角度
「僕も夜空好きだな。」
天文部に入ってるぐらいだからね。
「夜ってさ、この屋上に上がるの無理かな?」
突然の彼女の発言に目を見開く。
「無理…だと思う。」
「え~。」
藤金さんってこんな無邪気な人だったっけって思った。
「なんか、今日は少し星が見たい気分なんだよね。」
彼女がふうっと溜め息みたいな長い息を吐いた。
悩みの原因は知っていた。
どんだけ彼女を見てたんだよと自分でつっこみたくなってしまう。
「…白井くん…と何かあったの?」
恐る恐る聞いてみた。
彼女は少し微笑んでいるだけだった。