前の席の君 ～２歩のキョリ～

席替え

運命の席替えから一日経った　


分かったことがいくつかある


って　いっても　たった二つだけど


・其の一　髪の毛をいじるのが癖

　（考え事をしている時よく長い黒髪の先を


　　手でクルクルしている

　　特に数学の時間…もしかして苦手！？）


・其の二　学校指定の白と黒の靴下を毎日　

　
　交互に履いてきている

　（これは以前から調査ずみだ）


カリッカリッ


ん～後は「調査結果なし」と…


って　何やってんだ俺は！！


ノートに書き込む自分は明らかに馬鹿だ…
いや変態だ


高１にもなって　こんなことしかできないのかよ


まったく　自分が嫌になる


「春の遠足の同意書だ。親にしっかりサインもらってこいよ。」

担任がそう言いながらプリントを配る


こんなのは俺じゃない！


そうだ　俺が野原を好きなのは勝手な思い込みだ
そうに違いない


自己暗示を心の中で唱えている途中で


野原がプリントを俺に回す


いきなり目があって


赤くなったのを気づかれないために下を見る


やばい


この状況は誰からどうみても


片思いだ