YOU〜普通の子×ホスト〜
あぁ……。
眠れなくなったし。
俺はチハルとは反対方向を向いて眠ることに集中しようとした。
―――カタン…
小さな物音がして、目を開いてみる。
暗くて何も見えない。
「…誰?」
聞かずにはいられなかった。
こんな近くに、人がいたなんて、かなりの予想外だったから。
「ごめん…起こしちゃった?」
その声を聞いて、俺は唖然とした。
何も言えなかった。
何を言うべきか、考えていたら、言葉に詰まってしまう。
「おやすみなさい」
彼女は、そう言って、この家から出ていった。
ガチャン……
と、玄関のドアが閉まる音が、虚しく響いた。