YOU〜普通の子×ホスト〜

あぁ……。
眠れなくなったし。


俺はチハルとは反対方向を向いて眠ることに集中しようとした。



―――カタン…

小さな物音がして、目を開いてみる。
暗くて何も見えない。



「…誰?」

聞かずにはいられなかった。



こんな近くに、人がいたなんて、かなりの予想外だったから。



「ごめん…起こしちゃった?」

その声を聞いて、俺は唖然とした。



何も言えなかった。

何を言うべきか、考えていたら、言葉に詰まってしまう。



「おやすみなさい」

彼女は、そう言って、この家から出ていった。

ガチャン……
と、玄関のドアが閉まる音が、虚しく響いた。




< 73 / 100 >

この作品をシェア

pagetop