月と太陽の事件簿2/点灯す(ともす)
1章
不意に木枯らしに吹かれ、あたしはあわててコートの前をかきあわせた。
時刻は午後6時。
日はとっぷり暮れ、あたりはもう完全に暗くなっている。
年明けとはいえ、七草を過ぎればもう、三が日ほどの喧騒はない。
むしろあたり一帯は寒さで縮こまったように静まり返っていた。
「収穫はなしか」
そんなことを思うと自然と足が重くなる。
足を使ってナンボの仕事とはいえ、こうも寒いとさすがにつらい。
「レミじゃないか」
後ろから声をかけられ振り向くと、そこには黒のダウンコートにスーツ姿の男が立っていた。
色白で、品のよい顔だちをしている。
でもどこか憂いを含んだその瞳は、浮世ばなれした雰囲気をかもし出していた。
時刻は午後6時。
日はとっぷり暮れ、あたりはもう完全に暗くなっている。
年明けとはいえ、七草を過ぎればもう、三が日ほどの喧騒はない。
むしろあたり一帯は寒さで縮こまったように静まり返っていた。
「収穫はなしか」
そんなことを思うと自然と足が重くなる。
足を使ってナンボの仕事とはいえ、こうも寒いとさすがにつらい。
「レミじゃないか」
後ろから声をかけられ振り向くと、そこには黒のダウンコートにスーツ姿の男が立っていた。
色白で、品のよい顔だちをしている。
でもどこか憂いを含んだその瞳は、浮世ばなれした雰囲気をかもし出していた。
< 1 / 39 >