月と太陽の事件簿2/点灯す(ともす)
里見さんには新人の頃からお世話になっている。
鑑識課でもベテランらしいが、その年齢は誰も知らない。
本人に訊いても「秘密」と言って氷のような微笑を返すだけだという。
「なにか出ましたか、里見さん」
「犯人らしい指紋はなかったけど、とりあえずこっちに来て」
浦川警部が訊くと、里見さんは手招きをしてあたしたちを台所へと連れていった。
「これを見て」
里見さんが指したのは、流し場にあったライト。
そのライトには蛍光灯がなかった。
「ライトの周辺には血痕があったわ。恐らく被害者のものね」
「被害者が蛍光灯を外したんですか」
「レミ、被害者は即死だぞ」
「あ」
達郎に突っ込まれるとは不覚。
「だとすると犯人が取り外したんですかな」
「たぶんね」
「ちょっと待ってください」
あたしは警部と里見さんの会話に割り込んだ。
「それじゃなんですか、犯人は金品には手をつけずに、蛍光灯だけを盗んだってことですか?」
鑑識課でもベテランらしいが、その年齢は誰も知らない。
本人に訊いても「秘密」と言って氷のような微笑を返すだけだという。
「なにか出ましたか、里見さん」
「犯人らしい指紋はなかったけど、とりあえずこっちに来て」
浦川警部が訊くと、里見さんは手招きをしてあたしたちを台所へと連れていった。
「これを見て」
里見さんが指したのは、流し場にあったライト。
そのライトには蛍光灯がなかった。
「ライトの周辺には血痕があったわ。恐らく被害者のものね」
「被害者が蛍光灯を外したんですか」
「レミ、被害者は即死だぞ」
「あ」
達郎に突っ込まれるとは不覚。
「だとすると犯人が取り外したんですかな」
「たぶんね」
「ちょっと待ってください」
あたしは警部と里見さんの会話に割り込んだ。
「それじゃなんですか、犯人は金品には手をつけずに、蛍光灯だけを盗んだってことですか?」