月と太陽の事件簿2/点灯す(ともす)
だとすると犯人は一体何の目的で?

「うーん、蛍光灯を盗む理由かぁ…」

浦川警部は唸り声をあげた。

「ちょっといいですか」

達郎が流し場にあった物をつまみ上げた。

それは発泡スチロールのフタだった。

「ああ、それはこの箱のフタよ」

里見さんが背後の冷蔵庫の傍らにあった発泡スチロールの箱を指した。

「これは何ともこの部屋に不釣り合いなものですなぁ」

箱の中をのぞいた警部は頭をかいた。

そこには立派なズワイガニが入っていた。

「このフタにも血痕がありました。フタは最初からここに?」

達郎が訊くと、里見さんはうなずいた。

「犯人はこのカニが目的だったんでしょうか?」

浦川警部は首をかしげたが、まさかそんなはずがあるワケない。

仮にそうだとしてもカニは盗られずにそこにあるのだし、消えた蛍光灯とどう結びつくのか。

『カニよりも蛍光灯を選んだ強盗殺人犯』

いかん、想像したらアホらしくなってきた。
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