月と太陽の事件簿2/点灯す(ともす)
「あたしゃコタツに入って夕方のニュースを見てたんだけどね。テレビは窓側に置いてあるんで、玄関はよく見えるんだ」

あたしは首を伸ばして、窓をのぞいた。

確かに、テレビの向こう側に玄関が見えた。

「アパートの出入り口は、正面の玄関だけですか?」

「そうだよ」

「参考になりました」

達郎が礼を言う。

「ところでこのアパートに下瀬夫婦以外の住人はいますか?」

「1人いるよ」

達郎は浦川警部に訊いたのに、なぜか村本が答えた。

何気にでしゃばりな人のようだ。

最初の腰をぬかしてた姿からは想像つかない。

「羽田さんといってナントカ大学だかの学生さんだ」

「羽田修で年齢は21才。T大学の理学部に在籍する学生です」

浦川警部が正確な情報を伝えた。

「羽田修に話を聞いてみましょう」

達郎はそう言って立ち上がった。

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