月と太陽の事件簿2/点灯す(ともす)
羽田修の部屋は2階の右端で、下瀬夫婦の部屋の反対側にあった。

「あ、警部」

階段を昇ったところで、達郎が立ち止まった。

「下瀬智広が警備を担当してた場所を教えてもらえますか」

「調べさせましょう」

警部は近くにいた部下を呼んだ。

「できれば1月6日の勤務地を」

達郎はそう付け加えた。

「なんで今そんなことを訊くの?」

素朴な疑問をぶつけると、「秘密」という答が返ってきた。

納得できないあたしは、「言いなさいよ」と食い下がる。

「要素だよ」

「要素?」

「事件を構成する要素。その要素が多ければ多いほど事件の解決につながるんだ」

事件の解決につながると言っても、それは達郎のアタマの中の話であって、あたしには想像がつかない。

いったい達郎の中で事件はどのように組み立てられてるのか。

そんなことを考えてる間に、羽田修の部屋の前まで来た。

浦川警部がドアをノックすると「はぁい」という声がしてドアが開いた。

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