月と太陽の事件簿2/点灯す(ともす)
事件当日、羽田修は帰宅した下瀬智広の部屋を訪れ、金を渡すふりをして下瀬智広を殺害した。

そして自分の運転免許証を取り返そうと部屋の物色をはじめた。

しかしあろうことか、アパートが停電して部屋が真っ暗になってしまった。

「あわてて羽田は明かりを探しました」

説明役があたしから達郎に変わった。

「しかし暗闇の中で明かりは見つかりません。それでも羽田は手探りでなんとか台所までたどり着きました」

達郎が再現してくれると言ったのはここからだ。

「台所にたどり着いた羽田が闇の中で思わず蹴飛ばした箱。何気なく触ってみたら、それはカニの入っていた発泡スチロールだった」

まるで見てきたかのように言いながら、ひとつめの品、発泡スチロールのフタを手にとる。

「その瞬間、羽田はあることを思い出して、首のマフラーを手にとった」

ふたつめの品であるマフラーを手にする。

ちなみにナイロン製だ。

< 34 / 39 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop