月と太陽の事件簿2/点灯す(ともす)
達郎は高校卒業後に4年間海外留学し、帰国後に改めて都内の某大学へと入学した。

つまり25才の現役大学生なのだが、本当の正体はそれではない。

元法務大臣を祖父に、警視総監を父に、警視正を兄にもつ警察一家の一員で、本人も10代の頃から数々の難事件を解決してきたという異色の経歴の持ち主、それが月見達郎なのだ。

民間協力員としての達郎の名声は、今や警察中に響き渡っている。

あたしが捜査協力の要請云々と言ったのはそのためだ。

「ふうん」

達郎の口の端に笑みが浮かんだ。

「となるとレミと組むのかね」

「あ…」

血の気が引くのがわかった。

どうして気付かなかったんだろう。

先ほど記したように達郎の家は名門警察一家である。

その家の一員である達郎は超のつくVIP。

なにかあったらイカンということで現場責任者は捜査の際、達郎にお目付役をつける。

そしてそのお目付役は、必ずといっていいほどイトコであるあたしに回ってくる。

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