月と太陽の事件簿2/点灯す(ともす)
本屋を出ると、再び木枯らしが吹きつけてきた。

「おー寒っ」

達郎は首をすくめると、本屋の横にあった自販機に駆け寄った。

「レミ、なに飲む」

「おごってくれるの?」

あたしはブラックを頼んだ。甘党の達郎はカフェオレを買った。

ブラックはまったく飲めないらしい。

「ほい」

「ありがと」

あたしは缶コーヒーを受け取ると、両手で包み込むようにして持った。

寒空の下、ぬくもりが手のひらに広がる。

達郎はスーツの内ポケットに缶をしまいこんだ。

缶コーヒーをカイロ代わりにして、あたしたちは歩き出した。

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