じいさんとアタシ

「あれ??ケンさん、もう時間かい?」



「おう」



時計を見れば、アタシもそろそろ戻らないといけない時間だった。



「アタシも失礼します。そろそろ時間なんで」


と言うと、一足先に靴を履いたケンさんが言った。



「家族いるのにいないなんて言っちゃいけねーよ

いない奴に失礼だろうが」



「…すいません」



だってお母さんはお母さんじゃない。




アタシが黙ると、ヤツは「ちっ」と舌打ちをして続けた。



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