じいさんとアタシ
「驚きだよね。僕もビックリした。
キミちゃんは『あぁすいません』って言って、急いで涙をふいて、
いつもの笑顔の彼女に戻ったんだ」
「なんで泣いていたんですか?
まさかその本に感動して?」
「そうだよ。その本の話が余命3ヶ月と宣告された子どもと、そのお母さんの話だったんだ」
「余命3ヶ月…」
「そこで初めて、ひかりちゃんの話を聞いたんだ。
小さい頃から何でも1人でやらせて、自分は自由に生きてきたこと。
歳をとって、周りに誰もいなくなったとようやく分かったと同時に、たった1人の家族のひかりちゃんに、
見放されてるって気付いたこと。
『なんでもっと大切にできなかったんだろう。
私の子どもは元気で生きていてくれてるのに』
って泣きながら話してくれてさ。
気がついたら『僕でよければ力になります』って言ってたんだよね」