じいさんとアタシ
別れの挨拶をして、外に出た時「おい」と声をかけられた。
ヤツだった。
「タバコ買うついでに送ってく。
そうしろってトミさんも言うから」
そう言ってヤツはアタシの前を歩きだした。
警備室からモールの入り口までは150メートルくらい。
それくらいの距離、1人でも行けるけど、今のアタシにはそんなヤツの心遣いが嬉しかった。
なんでだろ?
ケンちゃんがあんなに怒ってたから、不安だったのかな?
それとも、少しヤツに対する気持ちがかわったから、
話してみたいと思えるようになったからかな?
どんな理由にしろ、アタシは嬉しかったんだ。