じいさんとアタシ

「トミさんなぁ、消えた妹がお前にそっくりなんだとよ」

「消えた?」

雨はハルさんが言ったとおりすぐやんで、湿気がすごかった。

そんな中、急にヤツが言った。


「トミさんに言うなよ?これはハルたちも知らないんだ。

俺と、トミさんの秘密」


「秘密なのに言っちゃっていいんですか」



『約束』とか『ルール』という言葉にとても厳しそうな人なのに、

あっさりとアタシにトミさんとの秘密をバラしたヤツに、ちょっと笑いそうになった。



「よくねぇよ。だけどお前だから言ってるんだ」


「は?」


モールの入り口まで後少し。

見慣れた2人の姿が目に入る。


< 202 / 292 >

この作品をシェア

pagetop