じいさんとアタシ
ケンちゃんがトイレに行くと、翔ちゃんが急にまじめな顔でアタシを見つめた。
「ひかりさ、ケンのこと頼むな」
「うん?でもどうしたの急に?」
「俺にとってはケンもひかりも、かわいい弟、妹だからさ~
悲しい思いはさせたくないの」
「アタシはケンちゃんがいれば平気」
「それはケンも言ってた」
「じゃぁ大丈夫じゃん」
「まぁそうなんだけどな?
お前もケンも、親とはその・・・」
「うまくいってない?」
「そう。うまくいってないだろ?」
「うん」
「だからお前らはお互いに依存しあっている。
それが悪いことだとは言わない。
だけどな?いつまでもその関係が続くとは思わないし、
もしその関係が壊れたとき・・・」
「翔ちゃんはアタシとケンちゃんが別れると思ってるの?」
「ちがう。そういうことが言いたいんじゃない」
「じゃぁなんなのよ?」
「依存するのはいい。だけど依存しすぎるなってこと」
そこでケンちゃんが戻ってきたから、この話は終わったけど翔ちゃんがアタシに何を伝えたかったのか、
このときのアタシは理解したと思っていたけど、全然できていなかった。