じいさんとアタシ
少しずつお母さんとの会話も増えて、藤堂さんとも親しくなったとき、
ケンちゃんがアシスタントをしていた料理教室に就職することになった。
なんでもその料理教室は、専門学校が母体で経営している教室で、
ケンちゃんはその専門学校に生徒として通い、教室でクラスをもつことになったらしい。
「翔ちゃんと同じ先生だね!」
電話で報告してきたケンちゃんに、アタシがそう言うと、
『アニキみたいに上手く教えられるかな?』
と珍しく弱気な彼。
「大丈夫だよ、ケンちゃんなら」
『うん。俺も大丈夫だと思う』
「ぷっ☆なんだそれ~!」
『俺、オバサン達から人気だからさ』
「マダムキラーケンちゃん!」
『なんか「カビキラー」みたいで嫌だな』
「ふふふ。でも…」
『でも?』
「アタシもその料理教室通っちゃおうかな~♪
なんちゃって♪」