じいさんとアタシ
16

ある日の夕飯のとき、アタシは藤堂さんと2人っきりだった。

お母さんは仕事が楽しいのか、のめりこんでいて帰ってくるのは毎日22時に近いころ。


よくあのお母さんが続くな・・・

と思ってたけど、熱中しているお母さんは前よりも明るい性格になっているし、

「ひかり~お土産~♪」と言ってケーキを買ってきてくれることもあった。


少しずつ関係を回復していけてる気がしてたから、お母さんの仕事に対して不満はなかった。


「今週の日曜日、ひかりちゃんはヒマかな?」

タラスパを食べながら、藤堂さんが聞く。

「ん~たぶんバイトです」

「そっかぁ。残念。

日曜日、僕もキミちゃんも休みだからどこかドライブにでも行こうと思ってたんだけど・・・」

「そうなんですか、残念」

ホントはバイトはないけど、トミさんたちと2週間に1回の麻雀大会をすることになっていた。

さすがにそれは言えないよなー
と思い、残念そうに答えた。


「ほんと残念!また今度ね」

藤堂さんが本当に残念そうに言うので、ちょっと心が痛くなった。





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