じいさんとアタシ
「玄関に見慣れないクツがあったけど…」
「あぁ…それはアタシの彼氏のクツです」
なぜだか答えがわかってるような質問をされて、
「藤堂さんってこんな人だっけ?」って思う。
「結構、泊まりにくるの?」
「はぁ…たまに…ですかね?」
藤堂さんとケンちゃんの話をしたことは、前に1回したきりだった。
しかも「彼氏とかいるの?」「いますよー」のやり取りで、終わった気がする。
「そっか。じゃぁキミちゃん待たせてるから、行くね」
「はい。気をつけて」
玄関まで見送るアタシに、彼は真面目な顔して聞いた。
「彼氏とは…ラブラブ?」
「はい!大好きです」
アタシがそう答えると「そう。よかった。じゃまた」と背を向けて答え、
出て行った。