じいさんとアタシ
部屋に戻るとケンちゃんが起きていて、
「俺もひーのこと大好き」と言ってくれた。
どうやら聞こえていたみたい。
ケンちゃんに藤堂さんが来た理由を話していると、
急に渋い顔をしだした。
「今日って日曜日だろ?あの人、仕事休みじゃないの?」
「あ…確かに」
「アイツ…なんかおかしいよ」
「え?おかしいって何が?今日はたまたま仕事なんじゃない?」
「『日曜日は休みだからドライブ行こう』って誘われたんだろ?」
「あ…」
ケンちゃんは心配そうにアタシを見て言った。
「なるべくアイツと2人になるなよ?」
「大丈夫、ケンちゃん。
きっと勘違いしてただけだよ。藤堂さんはお母さんの結婚相手だよ?」
「ひーが大丈夫でも、俺は大丈夫じゃないの」
オデコに軽くデコピンされて「さ、寝るよ」と、ケンちゃんが言った。
アタシたちはすぐに夢の中に入っていった。