じいさんとアタシ

部屋に戻るとケンちゃんが起きていて、

「俺もひーのこと大好き」と言ってくれた。


どうやら聞こえていたみたい。


ケンちゃんに藤堂さんが来た理由を話していると、

急に渋い顔をしだした。


「今日って日曜日だろ?あの人、仕事休みじゃないの?」


「あ…確かに」


「アイツ…なんかおかしいよ」



「え?おかしいって何が?今日はたまたま仕事なんじゃない?」


「『日曜日は休みだからドライブ行こう』って誘われたんだろ?」


「あ…」


ケンちゃんは心配そうにアタシを見て言った。



「なるべくアイツと2人になるなよ?」


「大丈夫、ケンちゃん。

きっと勘違いしてただけだよ。藤堂さんはお母さんの結婚相手だよ?」


「ひーが大丈夫でも、俺は大丈夫じゃないの」


オデコに軽くデコピンされて「さ、寝るよ」と、ケンちゃんが言った。



アタシたちはすぐに夢の中に入っていった。




< 263 / 292 >

この作品をシェア

pagetop