じいさんとアタシ

病院からの帰り道、警備室に寄った。


なんとなく…家に帰りたくなかった。




「こんばんわ」


部屋に入ると「ひーちゃん、体は大丈夫なのか?」とズミさんが言った。



どうやらアタシは体調不良で、帰ったということになってたらしい。



「顔色が悪いけど、大丈夫?」


トミさんの声が遠く感じる。






「とっ…トミさぁぁぁん…!」


アタシはトミさんに抱き着いて泣いてしまった。



みんな尋常じゃないアタシを見て焦っている。


トミさんだけが「大丈夫だよ、大丈夫」と背中をさすってくれた。




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