じいさんとアタシ

アタシが妊娠したことを告げると、みんな驚いた。


「嘘だろ…俺、孫ができちまったよ」


とズミさんが意味不明なことを言っている。



「まぁとりあえず落ち着いて」


トミさんがアタシを座らせて、ハルさんが温かい日本茶をいれてくれた。




「相手はわかってるの?」


トミさんが聞く。


コクリと頷く。


相手はケンちゃんしかいない。



「お母さんは…知ってるの?」

「知りません。まだ誰にも言ってません。ケンちゃんにも」



「ケンちゃん」という言葉にヤツがピクリと動いた。


そういえばヤツは「ケンさん」だったな…




< 275 / 292 >

この作品をシェア

pagetop