じいさんとアタシ
アタシが妊娠したことを告げると、みんな驚いた。
「嘘だろ…俺、孫ができちまったよ」
とズミさんが意味不明なことを言っている。
「まぁとりあえず落ち着いて」
トミさんがアタシを座らせて、ハルさんが温かい日本茶をいれてくれた。
「相手はわかってるの?」
トミさんが聞く。
コクリと頷く。
相手はケンちゃんしかいない。
「お母さんは…知ってるの?」
「知りません。まだ誰にも言ってません。ケンちゃんにも」
「ケンちゃん」という言葉にヤツがピクリと動いた。
そういえばヤツは「ケンさん」だったな…