じいさんとアタシ
「『レジの打ち間違いには気をつけてね、月島さん』」
彼がそう言って誰だかわかった。
アタシが中学のとき、バイトをしていたコンビニにいた人だ。
「誰だかわかった?」
アタシが頷くと、彼は話しはじめた。
まだ駆け出しの建築士で、お金がなくてコンビニで掛け持ちのバイトをしてたこと。
その時にアタシに会って、好きになったこと。
その気持ちに気付いたら、アタシはバイトを辞めてしまっていた。
そしてたまたまお母さんに会って、アタシの写真を見たこと。
「また会えて本当に嬉しかったんだよ?」
彼はそう言いながら、アタシの首に下をはわす。