じいさんとアタシ

「さぁ早くっ!」


呆然とケンちゃんの様子を見ている藤堂が、お母さんに手を引かれている。





「いやぁ…ケンちゃん…いや…」


ケンちゃんは「ひー」と弱々しく笑った。




「救急車…携帯、携帯…!」


震える手で携帯を探すアタシの手を、ケンちゃんが握る。



玄関から2人の出ていく音がする。



「愛してる、ひー…」



アタシの手を握っていた手が、離れた。






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