Is this a Fiction?

「もう少しかかるから退屈でしょ?歌の練習して待ってて」

嫌だ。何が楽しくて客も居ない閉店間際のラウンジで空歌を歌わなければならないのか。

しかし嫌です……とは言えない。

しかたなく、違和感を抱えたままマイクに手を伸ばし、女の子と一緒に曲を選ぶ事になった俺。

この時最後まで残っていた女の子は源氏名を“トモヨ”と言った。

カラオケBOXではなく、カラオケカウンターと化した場所で歌を選ぶ二人。

俺は歌うのがすこぶる好きであった為、練習しろ……と言われなくとも、既に客の居ない時間や閉店後にはよく歌っているのだ。

今更、妙な違和感を抱えたまま楽しく歌う事等は不可能に近いが、勤務時間を終えたトモヨは上機嫌。

「チーフあれ歌ってよ」

等と、カラオケの変なノリを押し付けてくる煩わしさ。

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