Is this a Fiction?
何かの都合があるのだろうが、あれやこれやとはっきり言ってうんざりしていた。
セカセカと時間を刻むのは構わないが、関わるのが億劫なのだ。
嫌々電話を受けた俺に、やはりまたしてもママからのつまらない注文である。
「チーフ?さっきから客がトイレに入って出て来ないのよ」
「ノックしてみたらいいじゃないですか」
ふざけた回答だが、ママの言葉の重要性のなさにこうも言いたくなる。
「したけど返事がないの。だいぶ酔ってたみたいだから」
「中でもどしてるんじゃないですか?」
酒に酔う場所で、酔った客がトイレから出て来ない。
そんな事は茶飯事で、わざわざオーナーママが従業員に電話してまで報告する事ではないのだ。
「心配だからドアを外から開ける事出来ない?」
「……簡単に開きますよ」
俺は呆れた感情を抑える事なくそう呟いた。