Is this a Fiction?
そうやって頭を整理させて行くと、次に俺の恐怖の対象は自然とママへと向って行った。
怯えきったママの姿を見て逆に恐怖を感じながらも、救急要請を済まし流れ出たままの水を止めた。
救急隊員を待つ時間。
更に複雑化する思考があった。
それだけの段取りと小細工をする人間が、それ程までに恐怖するだろうか……?と。
さっきまでとは対をなし、別のベクトルの違和感が湧き出す。
“恐怖の色”から予測出来た答えが、逆に“恐怖の色”があった事で否定に変わる感覚である。
ママは彼女の死を“知っていた”から怯えていたのではなく、知っていたからこそ普通なら恐怖する“振り”をしたのだろう。
この落ち度とも言える演技が俺に更なる疑惑を植え付けるのだ。