Is this a Fiction?
救急隊員が駆け付けて来た時、まだ衰えないママの恐怖の“振り”は続いていた。
悲痛な大声で死を確認する姿が“演技”にしか見えない。
「どうなってるんですかっ!?」
「死んでるんですかっ!?」
「死んでるのっ!?どうなのっ!」
死んでるよ……どう考えても。
滑稽にすら見えるママを尻目に俺は冷静に運び出される“遺体”を見ていた。
救急隊員がトイレに入ってものの数分。
処置らしい事をまるでしていない事からも既に手遅れである事が確認出来る。
それでも必死で“確認”するママは死んでいる事ではなく、生きていない事を確認している様に見えた。
そんなママに救急隊員は振り返りもせずにたった一言……
「心拍停止っ!」と吐き捨てた。