Is this a Fiction?

あの事故……いや、事件……。
あの通夜の夜……。

あれからも俺の頭の疑念は、一向に薄れないままに普段通りの日々がまた始まった。

俺にとっては、“事故”ではなく“事件”である事に変わりのない出来事は、自分の中での解決を見ないままでの日常の再開だった。

あんなにまで動揺していたママは、あの日の夜の、本来であれば引きずるはずの“恐怖”も、言い方は悪いが本来であれば“珍しい”ワンシーンも、一度として口にする事はなくなっていた。

それは“敢えて”口にしないようにすら見えるのだ。

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