Is this a Fiction?
日頃から客のテーブルに付き、女の子を尻目にホストさながら酒と談話を交わし、歌のリクエストに応えて来たある種の役得だった。
店から車で五分程の同じ市内に、不動産や店舗を経営する常連客が居た。
ある日の接客中、俺の退職を知らないにも関わらず、近々新しい店舗をオープンするのだと話して来たのだ。
更に出来れば自分の会社に来て、その店舗の立上げに協力しないか?と誘いをかけてくれた。
業種は業務用のスーパー。
全く畑違いだったが、もともと自分の店を出店するつもりでいた俺としては、流通を覚え業者と知り合うのは、店内業務を身に付けるのと同じ位に重要だった。
しかも提示された給料は、ラウンジで働くよりもうんと良かったのである。