Is this a Fiction?
ここで俺にはわからない事が二つあった。
一つは、金の取り立てをする為にわざわざ店にまで呼びつけ、声を張り上げながら威嚇する割には……テーブルにはヘネシーのボトルにグラスは二つ。
お互い、コニャックなんぞを呑みながら会話をしていた事。
もう一つは、数ヶ月前にママの薦める保険外交員の保険に入ってくれと頼まれていた事。
その保険と云うのは障害保険で、受け取りは勿論こちら……即ち俺の名義だ。
しかし支払いは店が。
その理由が「出勤中に何かあると駄目だから……」と何やら訳のわからない不自然な理由であった。
そしてその保険会社……の外交員が、今取り立てられているであろう彼女だったという事だった。