LAST contract【吸血鬼物語最終章】
LAST contract -mark 11- 菫目線
不意に、後ろの足音が聞こえなくなった。
立ち止って後ろを振り向く桃。
ボクもそれを追う様にして後ろを振り向いた。
ボクの位置からは、紅の体が邪魔で浦さんがよく見えなかった。
でも、隣にいる桃は何かとても恐ろしいものを見るような目をしていて‥‥
「‥‥お、お前‥、まさかっ」
紅の詰まった声。
桃の手は、小さく震えていた。
ボクは桃の方に一歩動いて、浦さんを視界に入れる。
でも、
その姿はいつもと、
さっきまでの浦さんとは
明らかに違っていた。
鋭く尖った八重歯に
長く伸びた爪
虚ろな瞳
その瞳は、深い深い海の色をしていた。
ボクが知っている浦さんの目は‥‥
綺麗な空の色の筈なのに。