LAST contract【吸血鬼物語最終章】
LAST contract -mark 12- 菫目線
「‥ぁ、アオ、ちゃん‥」
力を振り絞ってようやく出たその声は、酷く掠れていた。
ボクの首を絞めていたアオちゃんの手から、力がだんだんと抜けて、地面にボクは崩れ落ちた。
「‥っ、ゴホッ、ゴホゴホッ」
やっとの思いで酸素を吸い込む事が出来たボクは、目の前にいるアオちゃんを見上げた。
アオちゃんは目を見開いて、自分の手を恐る恐る見つめた。
そして2、3歩下がると、体の力が抜けたようにがくんとその場に膝を付いた。
少しだけ、正気は戻ったんだと思う。
でも、吸血鬼の姿のアオちゃんから、いつもの姿のアオちゃんには戻らなくて‥‥。
どうして、かな‥。
こんなに傍にいたのに
こんなに好きなのに
どうして、こんなに大切な存在が分からなくなっていたんだろう。
見失っていたんだろう。
忘れていたんだろう。
こんなに近くにいるのに
なのに
遠い。