LAST contract【吸血鬼物語最終章】
LAST contract -mark 13- 葵目線
スミレの言葉が、僕に安心感を与えた。
本当に、不安だったんだ。
記憶を失くしたお前にあんな事をしたって事もあるけど‥‥、
お前が記憶を戻した時
僕を許してくれないんじゃないかって。
でも、お前は僕の考えとは真逆に、僕に感謝なんかしてて‥
知らないうちに涙が頬を伝っていた。
ははっ、カッコ悪い。
お前の前だけでは絶対に泣く事なんてしないと思っていたのに。
でも、逆にお前の前だから泣けるって事もあると思う。
「スミ、レ‥」
胸に倒れ込んで来たスミレを覗きこむ。
手や足には擦り傷が沢山あった。
僕の後ろで倒れている桃。
その隣で何やら携帯電話を弄っている先輩。
「‥‥」
先輩の胸は何かに酷く引き裂かれて、真っ赤な血が胸を支配していた。
そして僕の爪にも、真っ赤な血。
僕は先輩に比べると、全然軽症だった。
頬がピリピリと痛むだけ。
眼鏡が地面に転がっていた。
恐らく、先輩たちの傷は全て
僕がしたものだろう。