LAST contract【吸血鬼物語最終章】
LAST contract -mark 14- 金司目線
紅の家からの帰り道。
俺は妙な緊迫感に包まれていた。
少し前をスタスタと歩く華。
いつもなら、隣を歩いている筈なんやけどなぁ‥。
葵が暴れた現場に行ってから、華の様子がずっとおかしい。
発する言葉は少なく、俺の顔をちゃんと見てくれん。
俺、何かしたか?
いや、何かしたんやったら殴られとる筈‥。
「ねぇ、金司‥」
前を歩いとった華の足がぴたりと止まった。
俺も釣られて、その場で足を止める。
「金司はもう、あの時みたいにならないわよね‥?」
振り向かずにそう言った華の肩は、微かに揺れていた。
「‥お、お前‥泣いてんのか?」
「しっ、質問に答えなさいっ!!」
『あの時』
それが何を示しているか、俺には直ぐに分かった。