LAST contract【吸血鬼物語最終章】
LAST contract -mark 18- 菫目線
アオちゃんとさよならしてから、1週間が経った。
アオちゃんはあれから、誰とも連絡をとっていない様だった。
桃も、花ちゃんも、金ちゃんも、紅も。
連絡がとれないと言って、困っていた。
ボクは、一度も‥連絡をとろうとしていない。
でも‥‥
本当は、声を聞きたくて堪らない。
顔を見たくて堪らない。
会いたくて堪らない。
あれからボクは、ずっと後悔していた。
何で、あんなにすんなり受け入れたんだろう。
‥って。
ポケットから鍵を取り出して、鍵穴に差し込む。
ここは、アオちゃんの家。
付き合いだして二ヶ月が過ぎた頃だった。
『勝手に出入りしていいから』と言って、アオちゃんはボクに合鍵を渡してくれた。
でも、本人がいないと家に入る気がしなかった。
それに勝手に家に入るのって、なんか泥棒みたいだし。
そんな事を思うボクだから、合鍵を使う機会は全く無かった。
今日初めて、しかも本人がいない時に使う事になったそれを、鍵穴から引き抜く。
ガチャリとドアノブを回して、家の中に入れば
アオちゃんの匂いがした。
ここに来た事に、別に理由は無かった。
ただ、何と無く。
ここに来たかっただけ。
もしかしたら、アオちゃんが恋しくなったからかもしれない。