LAST contract【吸血鬼物語最終章】
LAST contract -mark 21- 葵目線
無事に一件落着した僕たちは、手を繋いで僕の実家へと歩いた。
それまでに話した内容は全部、離れ離れになった一週間の事だった。
寂しかっただの、辛かっただの。
何もやる気が出なくて、ご飯もろくに食べれなかっただの。
それはお互い同じで、スミレも僕も互いを笑った。
ここには先輩たちみんなで来たらしく、先輩たちは実家にいるらしい。
金ちゃんは今、自動車学校通ってる最中だし、電車で来たのだろう。
そして実家に帰った僕たちを待っていたのは‥―――
「ぎゃはははははっ‥!!」
「わははははは!!」
盛大な、笑い声だった。
「っ、こんな寒いのに、海に浸かってきたのかよ!はははははは!!」
「なんや?鮭でもおったんか!?」
「‥いるわけないじゃん」
いつまで経っても笑いの止まらない先輩と金ちゃん。
流石のスミレも、ちょっと頭にキているよう。
「おかえり。あれ、どうしたの?」
「あら、びしょ濡れじゃない」
桃と花ちゃんは笑わずに、風邪引くよ?と心配してきた。
そうそう、こういう人になって欲しいよ。
特に、先輩は。
台所の方を覗けば、母さんが昼御飯の準備をしていた。
もう、そんな時間だっけ。
母さんは皆の分まで用意してくれていて、桃と花ちゃんはそれを手伝っていたみたい。