1week
§愛§
「今日は本当にご馳走様でした」


「本当に送らなくて大丈夫ですか」


「はい。リオちゃんも居ますし」


「ありがとう。おやすみなさい」


「おやすみなさい」



あたしはマンションに背を向けた。

暗く街灯の少ない道をひたすら進む。

いるんでしょ〜?

心で叫ぶ。


「...」


空からふらふら〜っとジンが降りてきた。


何も言わずに。


「気にしてんの?」


口をとがらせたジンはまだ何も言わない。


「憧れよ。憧れ」


1メートルほど後ろを飛ぶ影が少し近付いたのが分かった。


「憧れは強くなったわ。だって。亡くなってからもあんなに愛して止まないんだもん」


あんな風に誰かを愛したい。
愛されたい。


失恋...なんかよりも

その気持ちが大きかった。


「あの...その...」


しどろもどろのジン。


「何困った顔してんのよー」


「俺、余計な事...」


「いい勉強出来たもーん」


「美羽」


「何よ、その顔〜」


思わず吹き出す。


「あ〜、お腹減ったぁ」


「美羽は食ったじゃん」


「減ったの〜!アイス買って帰ろ」



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