兎は俺のモノ




学校の外に出ると

びゅ~っと冷たい風が吹いていた。

季節は真冬だった。

「さぶいぃ~。」

兎が横から小さい声で言ったのを

俺は聞き逃さなかった。

その時はもぉ手はつないでいなかった。

兎が赤くなった手をさすっていた。

それを見た俺は

「兎。手。」

「へぇ?」

アタシが横を見ると

大きい手があった。

戸惑っていると…

「さぶいんだよッ!」

そぉ言って先輩の手がアタシの手を包んだ。

そして啓の上着のポケットに

吸い込まれて行った。

啓の顔が赤いのは

寒いから?

恥ずかしがってるから?

そぉ思いながら啓と一緒に歩いた。


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