The Last Present
気付けば8年という月日が流れていた。
10秒間しかいられないので、初めて会った時以来会話はしていない。
だから俺はいつからか彼女に一言残すようになっていた。
「今年も来たよ」
とか
「病気すんなよ」
とかその程度の言葉を寝ている彼女にかけていた。
俺が毎年バイトに応募している理由も単に時給がいいからだけではないかもしれない。
彼女がリストに載っているだけで俺まで幸せな気分になれるのだ。
リストには住所も名前も書いてないから、彼女が誰かも分からないんだけどね。