いとしいひと
「えっ?ええっ!?
あ…朱里ちゃん…?」
「う〜……」
あたしは子供みたいにしがみついて泣いてしまった。
――――きゅっ
びっくりしていた橋口さんが…
あたしを抱きしめ返してくれた。
その暖かさに、あたしはもっと涙が止まらなくて…
「…朱里ちゃん?
俺、こんなふうに抱き着かれたら期待しちゃうんだけど……」
え??
………あ。
何やってんの!?あたしってばっっ!!
ガバッ
「ごごごめんなさいっっ!!」
あたしはとっさに離れようと顔を上げた。
「………やだ」
ぎゅうっ
「う…あ…?」
あたしはまた橋口さんの腕の中。
「駄目。
離さないよ………?」
「はは橋口さ…ん?」
「嫌…?」
う……ずるいよぅ。
「嫌じゃ…ない。
嫌なわけないよっ…!」
そうして、また。
あたしはきゅっと橋口さんの背中に手をまわした………